Development and validation of a nomogram for predicting cognitive frailty in patients on cancer
がんを患う高齢者の「認知フレイル」の予測モデルを提案している研究です。
FriedのCHS基準で3点以上(フレイル)、あるいは1?2点(プレフレイル)でMMS26点以下、かつ
アルツハイマー病やその他の認知症ではない場合に「認知フレイル」であると定義し、認知フレイルの
予測モデルを作成、提案しています。
雑誌名:Clin Lung Cancer. 2025 Mar 4:S1525-7304(25)00047-6
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40399798/
PMID: 40122771
DOI: 10.1016/j.cllc.2025.03.001
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A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia.
帯状疱疹ワクチンにより認知症発症リスクが軽減されるかもしれないという論文がNature に掲載されました。
7年間の追跡期間において、帯状疱疹ワクチンを接種していない人に比べて接種した人は、新規認知症発症率を3.5%減少(20%の相対的リスク減少)というデータです。
単なるコホート研究ではなく、帯状疱疹ワクチンの定期接種「前」と「後」の集団を比較しているため、時代以外の背景因子が同様であるというのが特徴です(回帰不連続デザイン)。
このデザインを使用することにより、擬似ランダム化比較試験になっており、よくあるコホート研究よりは説得力があるデータのようです。
とはいえ、生物学的な検討はこれからなので、なぜ帯状疱疹ワクチンによって認知症発症率が低下するのかは今後の課題です。
雑誌名:Nature(2025)
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40175543/
PMID: 40175543
DOI: 10.1038/s41586-025-08800-x
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How oncologists assess and consider cognition in clinical decision-making with older adults
ベルギーの腫瘍医が意思決定における認知機能低下をどのように評価し考慮しているかを報告したレターです。
日本と同じように老年内科との共同作業が難しいようですが、軽度の認知機能低下があったとしても意思決定には支障がないことを強調している医師もいて、世界的にもがんにおける認知症の問題は今後大きな問題となるため取り組みが急務であることが指摘されています。
雑誌名:J Geriatr Oncol. 2025 Feb 14:102204
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39955220/
PMID:39955220
DOI: 10.1016/j.jgo.2025.102204
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Information technology-supported integrated health service for older adults in long-term care settings.
情報技術の活用が、長期療養型病院に入院していたり施設入所している高齢者の管理に有用かどうかを検証したクラスターランダム化比較試験です。
糖尿病の管理を改善させること、潜在的に不適切な薬物(potentially inappropreate medications: PIM)の使用を減らすことが示されました。
心不全の管理に関する有用性は症例数が不足していたため検証できませんでした。
在宅の高齢者への外挿はできませんが、今後はこうしたIT、ICT、ウェアラブルデバイスの活用等に関する論文が急増していくと予想されます。
雑誌名:BMC Med. 2024 May 29;22(1):212.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38807210/
PMID: 38807210
DOI: 10.1186/s12916-024-03427-7
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Lower Incidence of Dementia Following Cancer Diagnoses: Evidence from a Large Cohort and Mendelian Randomization Study
がんが認知症の発症リスクを抑える可能性があるかということを示した研究です。
もちろん競合リスクを調整した上での解析ですので、この分野は認知症の新薬とも関連し新薬開発がすすむきっかけになるかもしれません。
雑誌名:J Prev Alz Dis 2024;5(11):1397-1405.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39350386/
PMID: 39350386
DOI: 10.14283/jpad.2024.135
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The recombinant shingles vaccine is associated with lower risk of dementia
帯状疱疹ワクチンが認知症のリスクを下げるという論文です。
遺伝子組み換えワクチンとしてのシングリックスと従来のワクチンで比較したところ、6年以内での認知症の診断が17%低かったという報告でした。
インフルエンザやDPTなどのワクチンと比較しても、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の方が、それぞれ23%、28%ほど認知症の発症が低かったようです。
癌との直接的な関係ではありませんが、いずれにしても、日本の定期接種が4月から高齢者癌の方の認知症の予防の可能性?もあるかもしれません。
雑誌名:Nat Med. 2024 Oct;30(10)
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39053634/
PMID: 39053634
DOI: 10.1038/s41591-024-03201-5
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