更新日付:2025年6月10日

FaceAge, a deep learning system to estimate biological age from face photographs to improve prognostication: a model development and validation study

がんを患う高齢者の「見た目」を科学したLancet Digit Healthの論文です。
暦年齢よりも生物学的年齢の方が予後に関係することが知られていますが、生物学的年齢の評価方法は定まっていません。
臨床医は「見た目」で生物学的年齢を予測することから、患者の顔写真データをAIに読み取らせ、”Face age”なるものを作成しました。
今回、この”Face age”が生命予後に関係し、老化バイオマーカーとも関連があることがわかりました(老化バイオマーカーと暦年齢は関連がなかった)。

いままで「見た目」は医師の経験と勘に基づいていましたが、これをAIが代替できるようになる日が来るのかもしれないなと感じました。

雑誌名: Lancet Digit Health. 2025 May 7:100870.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40345937/
PMID: 40345937
DOI: 10.1016/j.landig.2025.03.002

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Frailism(脆弱性を持つ患者に対する偏見)に関するレビューです。

Frailism: a scoping review exploring discrimination against people living with frailty

昨今、暦年齢だけで治療を弱めるような行為(Agesm: 年齢差別)は少なくなってきたように思いますが、今度は、「見た目が脆弱そうだから」というだけでで治療を弱めるような行為(Frailism)があるよ、という論文です。正直、言葉ばかりが増えている気もしますが、Lancet系の雑誌に載っているくらいなので押さえておくべき概念なのかもしれないと思います。

雑誌名:Lancet Healthy Longev. 2025 Jan;6(1)
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39805299/
PMID: 39805299
DOI: 10.1016/j.lanhl.2024.100651

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Lancet Oncol.に掲載された、高齢者に対する免疫チェックポイント阻害薬の毒性管理に関するSIOGのレビューです

Management of immune checkpoint inhibitor-associated toxicities in older adults with cancer: recommendations from the International Society of Geriatric Oncology (SIOG)

雑誌名:Lancet Oncol. 2025 Feb;26(2):e90-e102.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39914430/
PMID: 39914430
DOI: 10.1016/S1470-2045(24)00404-2

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Effect of comprehensive geriatric assessment on hospitalizations in older adults with frailty initiating curatively intended oncologic treatment: The PROGNOSIS-RCT study.

6ヶ月以内の計画外入院をprimary endpointとして設定しCGAの有用性を検証した初めてのRCTです。
対象は70歳以上、G8が14点以下の固形がん患者で、curerative stttingにある患者を対象としています。結果はnegative studyとなりました。
CGAはランダム化から30日以内に行われていますが、治療開始から中央値で18日経過していました(参加に同意してくれる人が非常に少なかったため、治療開始までに登録されていればよい、と条件を緩和してしまった)。また、CGAの結果から推奨される介入の実施が義務ではなかったことも、その効果を小さくしてしまった可能性があります。

雑誌名:J Geriatr Oncol. 2024 Sep;15(7):101821.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39034167/
PMID: 39034167
DOI: 10.1016/j.jgo.2024.101821

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“Start low, go slow,” a strategy to tailor treatment dosing in older or vulnerable adults with advanced solid cancer: A systematic review and meta-analysis

がんを患う高齢者に対して、初回は減量してから、状態をみて用量をあげてゆく、という治療法についてのシステマティック・レビュー&メタアナリシスです。
前向き研究が少ないため頑健なデータではありませんが、日常診療で行われているであろうこの戦略に少しはエビデンスがあるのだな、思いました。

雑誌名:J Geriatr Oncol. 2024 Nov 13:102153
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39537457/
PMID: 39537457
DOI: 10.1016/j.jgo.2024.102153

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