First-Line Pembrolizumab Efficacy in Octogenarians With NSCLCs Expressing ≥ 50% PD-L1 (ESCKEYP GFPC 05-2018)
80才以上かつPD-L1≧50%のNSCLC患者に対するペムブロリズマブ単剤の効果を評価したフランスの多施設後向き研究です。
よくある、「高齢者にはIO単剤でOK」という結果とは異なり、若年集団と比較して高齢集団はOSは短く(23.9か月 vs. 12.0か月)、PFSも短い(8.3か月 vs. 5.0か月)という結果でした。
一方、奏効割合は49% vs. 42%と大きな差はありませんでした。
この理由として、高齢集団では、腺癌と喫煙者が少なかったことが原因ではないかと考察されています。
有害事象や増悪「以外」でペムブロリズマブを中止した患者の割合は、若年集団で13.4%、高齢集団で23.2%と高齢者集団で高い傾向がありました。
ここから、高齢集団の予後を延ばすには、肺癌以外の疾患もケアする必要があると考えます。
もちろん後向き研究なので限界はありますが、高齢者だから放射線治療、という脊髄反射を見直すきっかけになるデータかと思います。
雑誌名:Clin Lung Cancer. 2025 Mar 4:S1525-7304(25)00047-6
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40122771/
PMID: 40122771
DOI: 10.1016/j.cllc.2025.03.001
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Surgery Versus Stereotactic Radiotherapy in Patients over 75 Years Treated for Stage IA–IIA NSCLC
75才以上の早期非小細胞肺癌を対象として、外科的手術と定位放射線治療(SABR)を傾向スコアマッチングで比較した後向き研究です。
傾向スコアマッチングで調整できた患者は、外科的手術群で127人、SABR群で85人。1年生存割合は、外科的手術群で83.87%、SABR群で88.8%、5年生存割合は、外科的手術群で47.3%、SABR群で31.5%であったが、統計的に有意な差ではなかった(p = 0.068)。早期死亡率に影響を与える要因には、男性、PS:2、FEV1≦85%、外科的手術であった。
もちろん後向き研究なので限界はありますが、高齢者だから放射線治療、という脊髄反射を見直すきっかけになるデータかと思います。
雑誌名:Cancers. 2025 Feb 17;17(4):677.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40002271/
PMID:40002271
DOI: 10.3390/cancers17040677
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Targeted therapy for older patients with an oncogene driven non-small cell lung cancer: Recommendations from a SIOG expert group
肺癌を有する高齢者に対する分子標的薬に関するレビュー論文です。
国際老年腫瘍学会(SIOG)が公表している論文であり、各種遺伝子変異を有する高齢者への有効性、安全性、使用上の注意などがまとまっています。
個人的には、Met変異は高齢者に多いこと、PPIとTKIを併用すると吸収が悪くなることなどを改めて確認できたのが良かったです。
雑誌名:Lung Cancer. 2025 Feb:200:108087.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39826441/
PMID:39826441
DOI:10.1016/j.lungcan.2025.108087
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