JGOS世話人 原田先生の研究が、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部 (Japan Health Research Promotion Bureau：JH) のホームページに掲載されています。
「高齢食道癌患者における術前補助化学療法中の骨格筋量喪失予防を目的とした多職種連携プレハビリテーションプログラムの開発」
以下、原田先生のコメントです。
局所進行食道癌に対する術前補助化学療法を併用した食道切除術は、本邦の標準治療とされていますが、高齢者にとって最も負担が大きい集学的癌治療の1つです。実際に、高齢者では、術前補助化学療法を併用した食道切除術後4か月時点の骨格筋量喪失率は平均約9.1%と大幅に喪失しており、これは、非高齢者の喪失率(4.8%)や加齢に伴う生理的な年間喪失率(1-2%)よりも大きいことが示されています[1,2]。特に、高齢者では、食道癌に対する術前補助化学療法中の骨格筋量喪失率は平均6.4%であり、この期間中の骨格筋量喪失は術後の肺炎発生率や長期的な骨格筋量低下リスク、生存期間などの術後臨床成績や生活機能に関連する重要な因子である可能性が示されました[1,3]。
一般的に、プレハビリテーションは、手術前の2-4週間の短期間で術後の臨床成績向上を目的として実施される予防的なリハビリテーションのことを指します。しかしながら、現在、集学的癌治療後の臨床成績および生活機能の向上を目的とした術前補助化学療法中からの標準的プレハビリテーションプログラムは確立されていません。我々は、高齢者でも安全かつ満足度の高い集学的癌治療を受けられる社会をつくることをビジョンとして、術前補助化学療法中の標準的プレハビリテーションプログラムを開発するための取り組みを行っております。ぜひご覧ください。
1.HARADA, Tsuyoshi, et al. Skeletal muscle mass recovery after oesophagectomy and neoadjuvant chemotherapy in oesophageal cancer: retrospective cohort study. BMJ Supportive & Palliative Care, 2023.
2.CRUZ-JENTOFT, Alfonso J., et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age and ageing, 2019, 48.1: 16-31.
3.HARADA, Tsuyoshi, et al. Prognostic impact of the loss of skeletal muscle mass during neoadjuvant chemotherapy on older patients with esophageal cancer. Annals of Surgical Oncology, 2022, 29.13: 8131-8139.
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