更新日付:2025年9月30日

老年症候群とは、加齢に伴い高齢者に多くみられ、原因は様々であるが治療と同時に介護・ケアが重要である一連の症状を指し、50項目以上が存在することが知られている。

老年症候群の代表的な症状としては、認知機能障害、摂食・嚥下障害、体重減少、歩行障害、関節痛、転倒、易感染性、うつ、せん妄、頻尿・失禁、めまい、難聴、視力障害などが挙げられる。高齢者に多く認められる症状で、加齢に伴い増加する傾向がある。

疾患ではないが、薬物による治療や多職種を通じた介入を必要とすることがあり、包括的な対処が重要である。

老年症候群に対応するためには、高齢者総合機能評価(CGA)の実施や多職種連携が重要である。CGAは、医療と生活機能を多面的に評価するものであり、特にADLやQOL、認知機能、うつ、身体機能、生活機能、社会的側面等を評価することが重要である。例えば、スクリーニングとしてのG8やCGA(comprehensive geriatric assessment)7は、CGAの最も簡易なツールであり、いずれかの項目で問題があれば、より詳細な総合機能評価を実施する。


上記を踏まえ、老年症候群を有する高齢者では、がんか非がんかによらず、多職種による介入を念頭としたCGAが必須である。特に老年腫瘍学では、加齢に伴う生理的老化ほか、がんに関連「する」病的老化、がんに関係「しない」病的老化(生活習慣病などに関連した老化)、それぞれと関連した老年症候群に対し、包括的に対応することが重要である。

参考文献

荒井秀典 高齢者の全身状態・代謝状態の評価と管理1)老年症候群の包括的評価 日本内科学会雑誌 111巻3号p407-411

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