更新日付:2025年8月29日

論文タイトル:
Adjuvant chemotherapy and hormonotherapy versus adjuvant hormonotherapy alone for women aged 70 years and older with high-risk breast cancer based on the genomic grade index (ASTER 70s):
a randomised phase 3 trial

70才以上のルミナールタイプ乳癌を対象に術後補助療法の標準治療であるホルモン治療単独と比較して、試験治療であるホルモン治療+化学療法が
全生存期間において優っているか否かを検証したランダム化比較です。

ルミナールタイプのなかでもGenomic grade index (GGI)でハイリスクのみを対象とした。
登録患者のうち、Genomic grade index (GGI) が高いハイリスク患者1,969人を標準治療群と試験治療群に1:1にランダム化割付け。
結果、生存期間は、標準治療群で4年OS:89.3%、8年OS:68.3%、試験治療群で4年OS:90.5%、8年OS:72.7%であった
(層別ログランク検定p=0.2100、ハザード比0.83 [95% CI 0.63~1.11])。
Grade 3以上の有害事象は、標準治療群で9%に対して、試験治療群では34%であった。
治療関連死は、それぞれ、1例と3例であった。

当初の仮説は4年のOS:ホルモン単独で80%、ケモ併用で87.5%でしたが、実際にはホルモン単独で89.3%、ケモ併用で90.5%なので、
仮説に無理があったと思われます。ホルモン単独でOS 89%ということはGGIがハイリスクを適切に分別できていない可能性があります。
がんを患う高齢者を対象としたランダム化比較試験として試験デザインとしても興味深い試験です。例えば、割付調整因子にG8を含めたこと、
背景因子として各種高齢者機能評価データを収集していること、高齢者機能評価とPRO/QOLは定期的に評価していること、死因を詳しく
評価していることなどです。

雑誌名:Lancet. 2025 Aug 2;406(10502):489-500
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40617292/
PMID: 40752909
DOI: 10.1016/S0140-6736(25)00832-3

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論文タイトル:
Single-modality endocrine therapy versus radiotherapy after breast-conserving surgery in women aged 70 years and older with luminal A-like early breast cancer (EUROPA): a preplanned interim analysis of a phase 3, non-inferiority, randomised trial

乳房部分切除後にホルモン vs. 照射で、今回は中間解析でQOL (EORTC Q30)を用い、治療開始後2年では照射群がホルモン群より保たれていた、という論文です。
全体にホルモン群のQOL低下が認められ、なかでも認知機能低下も同様でした。
高齢者の乳房部分切除後の早期乳がんでは、ホルモン治療をやっておけば照射は省略できる、というのが今までの流れですが、それに一石を投じるかもしれません。
すなわちホルモン治療の方がQOLを低下させるので、どちらかならホルモン治療を省略、という方向性の検討です。
ただし今回の解析では予後に関する結果は全くありませんし、中間解析で登録の一部ですので、標準治療は変わりません。

雑誌名:Lancet Oncol
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39675376
PMID: 39675376
DOI: 10.1016/S1470-2045(24)00661-2

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論文タイトル:
Perioperative treatments for and postoperative activity of daily living of patients with early-stage breast cancer according to age group: A retrospective observational study.

JGOS 発起人代表 小川朝生先生が共同研究者となっている研究がEuropean Journal of Surgical Oncologyにて公開されています。

雑誌名:Eur J Surg Oncol. 2024 Feb;50(2):107323
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38113554/
PMID:38113554
DOI:10.1016/j.ejso.2023.107323

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